私が英語講師として教えているときに、国語力が弱いために英語も得点できない生徒が多いことを実感しました。

ここでいう国語力とは、語彙力・読解力・文章構造についての基礎的な理解力(文法力)です。

特に読解力に関しては、長文を読むときに段落ごとの内容把握ができない、キーセンテンスはどこにあるかなどを見分けられないと、たとえ語彙力があっても正答にたどりつけないという現象が起こります。

逆に国語の読解力のある生徒は、語彙力さえ鍛えれば 高得点を取ることができるようになります。

また、昨今の私立中学・公立中高一貫校・共通テストなどの入試問題は大量の資料を読み取る問題が、科目にかかわらず出題されています。

たとえばセンター試験と共通テストを比べると、数学の問題ページ数が約1.5~1.8倍に増加していますし、問題が長文化しているのです。

文章の中にある必要な情報を漏らさず早く確実に読み取る、システマティックな読み方を学ぶ必要があります。

この思考力・読解力を問う長文化の傾向は実は公立中高一貫校が設立された1999年から始まっているのですが、やはり大学入試共通テストがこの形式をとるようになったことの影響は大きく、今後ほとんどの試験がこのような傾向になると思います。

また、これは実際に海外に出ている生徒たちが口を揃えていうことですが、

「結局、日本語で考えたことしか話せないから、日本語でまず話せる力が必要で、海外で聞かれたり、議論になるときに日本の文化を知らないと会話にならない」

ということです。

つまり、英語を使いこなすためにも国語力が必要不可欠なのです。

科学技術の進歩が著しいこれからの社会で、「知識がある」だけではその変化に対応していくことは厳しくなると思います。今後はますます「思考力・判断力・表現力」が求められるはずです。そしてそれらの土台となるのが読解力だと思います。

まずは、土台となる読解力を盤石なものにし、自分の考えを自在に表現できるようになってほしいですし、どのような分野に進むにしても、受験のためだけでなく、社会に出た後でこそ必要とされるこれらの能力を身につけてほしいと思います。

私の英語塾では近年では海外大学受験の指導も多くなってきました。

これらの試験では、リーディングやリスニングではそこそこの点数が取れても ライティング・スピーキング問題で苦労をする生徒が多いです。

リーディング・リスニング試験とライティング・スピーキング試験の違いは何かといえば、自分で表現する能力です。

読み取りは出来るのですから、英語の単語や熟語を知らないわけではありません。試しに、英語でなく日本語で解答させても結果は同じです。

つまり「何を語るべきか」「どう語るべきか」がわからないため、先に進めないのです。
語るべき内容がなく、日本語で語れなければ、英語で表現できるわけがありません。

2023年度入試より都立高校の入試でもスピーキングテストが導入されました。

このテスト対策をしているときにも、同じ傾向がみられました。

「やはり国語力だ。読解力に加えて表現力や文書構築力がなければどうにもならない」と思いましたし、日ごろから身の回りや社会で起きる出来事やについて問題意識をもっているかどうかも重要だと痛感しました。

文章を翻訳したり作成したりするのは、AIがやってくれるかもしれません。
しかし、その文章が自分の表現したいことに合致しているのかを判断する能力が必要ですし、自分の個性を表現するにはやはり自分の言葉でなければなりません。
AI利用が浸透すればするほど、今までよりもっと個性や独自性が重視されるようになるだろうとも思っています。

語りたいことがあり、それを過不足なく表現する技術がある。

世界中どこへ行っても通用する能力を身につけた若者たちが、堂々と自分の意見を主張していく未来を一緒に作っていきたいと思っています。